2012年1月12日木曜日

「宝くじ大好きなタイの人々」


毎月2回宝くじの結果発表があるタイ。仕事に身が入らなかったり、発表会場のあるバンコク都心まで詰めかけたりするほど、くじを楽しみにしている人々の間では、大切な日。また、くじの番号を当てる方法がいろいろ紹介されたり、特定な人物にまつわる数字を当たり数字と思い込んだりなどなど、くじに縁のない私には、これでもかと思うような怪奇現象が起きています。

ということで、今回はくじのことをご紹介しちゃいましょう。

1等の賞金が300万バーツ


人気数字は定額以上に売られることも。
タイ語で、くじは「ホアイ」(หวย)といいます。毎月1日と16日が結果発表日。官庁街が立ち並ぶバンコクのラチャダムヌーン通り沿いに、宝くじ局(สำนักงานสลากกินแบ่งรัฐบาลの大ホールがあり、そこで機械をつかってランダムに出すくじの結果がテレビやラジオで中継されます。それを楽しむ人も多いですが、毎回現場へ詰め寄ってホールの外まで結果が待ち遠しい人たちで溢れ返っているそうですよ。

それから、工場管理の仕事をしている知り合いによれば、地方各地では発表の日は従業員の効率が悪い。当たった人は大喜びで仕事に集中できない。外れた人は落ち込んで仕事にもミスが出やすい、とのこと。何を隠そう、亡くなった祖母も大の宝くじ好きでした。と言っても後述する違法の宝くじのほう。

さて、政府発行の宝くじですが、特別1等は一枚だけ、賞金が300万バーツ(800万円くらい)。1等は46枚あり、賞金が100万バーツ(280万円くらい)。3ケタの数字と2ケタの数字というのもあり、それぞれ20001000バーツの賞金で、当たる確率が高いのと違法宝くじの業界で大人気なのです。


違法宝くじとは、どういうこと?

こちらは、「ホアイ・タイディン」(หวยใต้ดิน)といいます。大元がいくつもあって、それぞれ複数のブローカーが各家庭や職場にも出張して注文の受付と集金を担当。当たった人には賞金を届けるという昔ながらの仕組み。結果発表は政府発行のものと同じですが、注文するときの掛け金が多ければ多いほど賞金も大きくなります。違法ですが、かなり大っぴらにやっています。私の祖母が生きていた時に、結果発表する1週間前に必ず中国系タイ人のおばちゃんが家にやってきます。私らに隠れたようにごっそり祖母の部屋に入ってなんやら紙に数字のメモをしては掛け金をもらって帰っていくものでした。20118月に東部地方で摘発された大元の供述によると、ブローカーは1回につき、1,500バーツの日当をもらっていたとか。全部で1500人もいて、出回っている総額が1億バーツ以上だそうです。東部数県だけですよ!


犬は4、死ぬは0!!

祠や寺院に当たり数字を教えてもらう人も多い。
当てる数字は、多くの場合、それぞれが好きなものを当てるだけですが、くじ通の間では次回は4とか8とかの数字が出そうだとか。夢から当てる人も多いですね。それも犬の夢だったら4、死ぬ夢だったら0だとか、夢の解釈本まで出ています。今の時代では宝くじ攻略サイトもたくさんできていますね。

最近では、タイ初の女性首相インラックさんにまつわる数字が人気らしい。首相就任当時の彼女が乗っていた車のナンバーの最後の3ケタが当たり数字になったことをきっかけに、彼女の誕生日、自宅の番号、携帯番号、しまいに先日具合を悪くして入院した部屋番号まで、くじを買おうとする人が必死に調べていたとが新聞に載ってましたね。まぁ、結局当たらず、今では下火になりました。

宝くじが好きな人たちはとにかく有名な僧侶や首相などにまつわる数字をいろんな方法で解釈してヒット数字を割り出そうとする。もちろん、ロジックでも統計でもなく勝手なままにというやりかたです。首相には、自家用車が十数台あり、誕生日に就任日、結婚記念日などなど09まですべての数字が出てきます。1回当たったからといって毎回ということはないのは当然です。


タイの宝くじのそもそも

タイ文字を当てる初代くじ
タイ全土で不況が起きた1832年頃、現金が出回らず、皆が物々交換に戻ろうとしていました。当時のラーマ3世王は、王宮に出入りしていた中国人商人に相談したところ、対策として紹介されたのは、宝くじの発行でした。当初は中国の歴史人物34名の氏名を当てるというシステムでしたけれど、漢字だったため、タイ人には広まりませんでした。途中からタイのアルファベット「ホアイ・ゴー・コー」(หวยก.ข.に切り替わり、大繁盛となりました。政府としては、請け負い業者の中国人から一定のお金を年ごとに収めてもらうことで国の収入になりました。その後、入札になり、高く落札した業者が発行責任者に変わりました。

本格的に今に近いような宝くじの発行がなされたのは1932年のこと。そして、宝くじ局の創設は1939年で、現在につづいています。違法宝くじもしっかりつづいています。


なくならない違法くじ

祖母が93歳で亡くなる数年前まで、ブローカーは私ら家族に嫌みを言われながらも負けずに家に出入りしては、祖母のお金を巻き上げていきましたね。まぁ、もともと当たらないものにお金をかける方が悪いものですからね。我が家は違法くじをやったのは祖母だけで家がつぶれることもなかったのですが、中には借金までできた家庭も多々らしい。かつてタクシン元首相はどうせタイ人は違法くじを止めないのなら、なんとか違法の掛け金を政府収入にしてしまおうと、いろいろ工夫をしたものの、やはりなくなったりしません。今でも、ときどき大元の摘発のニュースを聞きます。

4600万部発行の宝くじ。特別1等にあたるのは、4600万分の1になります。たまにくじに当たった親戚や友人からご馳走されると、くじっていいなあと思うこともありますが、くじ運のない私はこれからも買うことはないでしょう。ということで金持ちになることもないですね。

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